【レビュー】『自閉症スペクトラムの子のソーシャルスキルを育てる本 幼児・小学生編』の内容や感想

ソーシャルスキルトレーニング

『自閉症スペクトラムの子のソーシャルスキルを育てる本   幼児・小学生編』を読みました。

本の概要や学んだこと、感想などのレビューです。

『自閉症スペクトラムの子のソーシャルスキルを育てる本〜幼児・小学生編』とは

 

 

『自閉症スペクトラムの子のソーシャルスキルを育てる本〜幼児・小学生編』とは、発達障害の専門家・信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 教授の本田秀夫先生が、自閉症スペクトラムの子どもが、幼児期に身につけるべき基本的なソーシャルスキルについてまとめた本です。

自閉症スペクトラムの子は、対人関係が苦手でこだわりが強いという特徴があるため、人との交流を通じてスキルを身につけることや、それをさまざまな形で応用していくことが難しいと言われています。

 

しかし、当書では、自閉症スペクトラムの子も、親がサポートをしてやり方を調整し、その子なりのソーシャルスキルを育てるようにすれば、社会参加することは十分可能である、と説明されています。

そのような視点から、親がその子の特性に合った形でスキルを習得していけるようサポートすることの重要性や、ソーシャルスキルの教え方などを解説している本です。

 

本の概要・学んだこと

本の概要を簡単にまとめます。

 

幼児・小学生のソーシャルスキル

 

第1章では、幼児期に見つけるべきソーシャルスキルや、それを身につけるために親が意識するべきこと、ソーシャルスキルと同時に育まれる自律スキルの重要性などについて書かれています。

幼児期に身につけるべきソーシャルスキルとして、著者が重要視しているのが、「人に相談すること」「ルールを守ること」の2つの習慣です。

これらが身につくことで、社会参加が可能になり、二次障害の予防につながると説明されています。

 

幼児期から身につけたい5つの基本スキル

 

第2章では、幼児期から身につけたい「5つの基本スキル」についてまとめられています。

基本スキルとして挙げられていたのは、下記の5点です。

・人に希望を伝える

・生活リズムを整える

・人に手伝ってもらう

・人といっしょに楽しむ

・人といっしょに喜ぶ

それぞれについて、そのスキルが重要となる理由とともに、具体的な身につけ方について説明されています。

 

強調されていたのが、基本スキルを育てるときは、無理をさせず、子どもの意欲や興味を大切にすることが重要、ということ。

そうして意欲を守ることが、将来の意欲や努力の基盤になるとのことです。

 

そして、親とやりとりをすることで、できることが増えていくという経験が大切、とのことでした。

 

応用スキル

 

第3章では、日常的にスキルを使う機会を作ることが大切との視点から、応用スキルの身につけ方についてまとめられています。

 

応用スキルとしては、暮らしに「わが家ルール」つくる、お手伝いは簡単なことだけ、簡単な片付けを提案するなど10項目が挙げられており、それぞれのスキルが大切な理由と具体的な身につけ方について説明されています。

 

この項目で特に印象に残ったことは、

 

・生活習慣は、本人まかせにするのではなく、最初のうちは子どもについていき一緒に手順を確認することが大切

(適切な生活習慣を身につけるために)

・学習面においても焦って教え込むのではなく、成長を待ってサポートをすることが大切

(つらい思いをして勉強嫌いにならないように)

・楽しみながら体を動かす機会を親が作ってあげることが大切

(運動能力を整えるために。苦手意識も和らぎ、運動や遊びに参加しやすくなるように。)

・順位や結果を重視するのではなく、「楽しむこと」「協力すること」「努力すること」「あきらめないこと」などの重要性を説明することが大切

(一番病にならないように)

 

といったことです。

 

親の提案を聞きながらスキルを応用することで、親と一緒に取り組めばうまくいくという感覚を持ち、親と信頼しながら生活のさまざまな場面にチャレンジできるようになっていく、とのことでした。

 

 

モチベーションを高めるコツ

 

第4章では、子どものモチベーションを高めるためのコツとして、

 

・「整理」や「電車」など好みを取り入れる

・子どもの希望をやや先取りして提案する

・予定をつめこみ過ぎないようにする

 

といったことが挙げられていました。

 

そして、最後の第5章では、本田先生からの保護者向けのメッセージとともに、子どものソーシャルスキルを伸ばす中で、親のスキルもどのように伸びていくか、といったことが書かれていました。

 

 

感想

 

自閉症スペクトラムの子が幼児期に身につけるべきソーシャルスキルについて書かれた本でしたが、文章は少なめで、絵や図(矢印)などを用いながら説明されているので、隙間時間を使ってサクサクと読み進めることができました。

 

また、本全体を通して、なぜそれが大切なのか?といった理由を示した上で、具体的なやり方を説明し、さらにその結果どうなるのか?についても説明する、といった構成になっていたため、非常に分かりやすかったです。

 

当書で述べられていた、幼児期に身につけるべきソーシャルスキルは、実に基本的なものばかりだったと思います。

幼児期に、そんなに高度なソーシャルスキルは身につけられないわけで、基本(土台)を大切にすることがいかに重要かということがよく分かりました。

そして、その基本的なことも、全てを生活に落とし込んでいくのは難しかったりするのですよね・・・

 

既にできていたこと、やり方が間違っていたこと、本を読んで意識するようになったこと、まだ取り組めていないこと、それぞれあります。

 

当書を繰り返し読んで、家庭での取り組みを増やしていきたいと思っている次第です。

 

そして、本を通して繰り返し述べられていた、無理をさせないで、子どもの意欲を大切にすることの重要性親とのかかわりを通して成功体験を積むことの重要性など、自閉症児を育てる上で本当に基本的で大切なことを理解することができたことも良かったと思っています。

子どもが自閉症スペクトラムと診断されて、何から手をつけていいのか分からない、と途方に暮れたり、アレもやらなきゃこれもやらなきゃと焦ったりしていたのですが、この本を読んでそんな風に焦る気持ちを落ち着かせることができました。

同じように、途方に暮れていたり、焦ったりしている方や、幼児期の自閉症児への親のかかわり方を学びたい方にはぜひおすすめしたい1冊です。

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